一切口にしない

オレンジのつぶやき

・・・業務に関するフランクな話題や感じたこと

15年またはそれ以上前,日本の主権や人権が大きく脅かされるできごとがありました。
その頃,たびたび会っていた大学の教育学の先生から次のようなことを言われました。
「このようなことが起きているいま,学校ではこのことを子どもたちにどのように伝えたり教えたりしているのだろうか。
もし何もしない校長がいたら,それは教育者としての意識や覚悟がない」。
その後もずっと私のなかで存在感が薄れない言葉です。
11年前の金曜日に東日本大震災が起こりました。
学校が避難所として開設され,夜を徹してその運営にかかわりました。
そのなかで「このできごとに対してお前は何をする」と考えていました。
3月14日の月曜日,学級で朝の会を終えた子どもたちを体育館に集めて,私から話しました。
「いま何が起きているか」「いま大切にすることは何か」「これからどうしていくことが求められているか」といったことを話しました。
その時の講話内容は,日ごろのメモを書くために使っていたA6サイズの小さなノート3ページにわたって今でも残っています。
子どもたちは真剣に聞いていました。
学年に応じて教室で担任がフォローする話をしてくれたと思います。
他国への軍事力を行使した侵略が始まり,その映像が連日報じられています。
それは人権がことごとく蔑ろにされている光景でありできごとです。
子どもたちはどのように受け止め,そして学校ではこのことをどのように伝えているのでしょうか。
オレンジ学習会に集まってくる子どもたちは,この話題を一切口にしません。
その様子が意味することを考えてしまいます。