里山だより401~500

500 ショウリョウバッタ 2022/09/06
 オレンジの敷地の出入り口には、レールがついていて横にスライドさせて開ける頑丈な門があります。早く出勤したスタッフが、この門を開け、一番最後に退勤するスタッフが閉めています。 
 門の上は居心地が良いのか、朝にはカエルやバッタがとまっていることがあります。ガラガラと音を立てて開けてもカエルは平気な顔をしていますが、このショウリョウバッタは「キチキチ」と羽を鳴らして飛んでいってしまいました。


499 リトル・ゾンビガール 2022/09/05
 昨日の日曜日、我が家の家族に加えて、少し前にレスパイトであずかった小学校1年生の女の子も誘って、4人でミュージカルを観に行きました。「ゾンビの女の子と人間の男の子。小さなふたりの友情が、森に大きな奇跡を起こす。」と言うお話しでした。
 中学生のうちの里子は、小さい子向けのミュージカルと思っていたようで、観る前まで「寝てていいんでしょう?」などと言っていましたが、終わりまでしっかり観て「歌や音楽がうるさくて寝ていられなかった。」と変な言い訳していました。小1女児は、ときどきキョロキョロしたりしながらも、分からないことをうちの里母に訊きながら観ていました。
 演奏についてはあまり意識していなかったのですが、カーテンコールで舞台裏からバンドメンバーが数人出てきてあいさつをして、生演奏だったことを知ってびっくりしました。うちの子も、毎日書いて学校に提出する「生活ノート」に「ミュージカルを観に行きました。生演奏ですごかったです。」と書いていました。


498 里子の紹介 2022/09/04
 うちの子と一緒にいると「お孫さんですか?」と尋ねられることがあります。我が家のことをよく知っている人には里子であることを伝えてあるので、あまり付き合いのない人があいさつに近い感覚で質問してくるのです。
 そんなときの答え方が、難しいと感じています。正直に「里子です。」と答えた後の相手の人の反応がとてもビミョーだからです。ほとんどの人が、里親制度を正確に理解していないため、「すごいですね。偉いですね。」などの言葉の後、沈黙の時間が流れます。私から里親制度をしっかりと説明すればいいのですが、その場面では相手の人がそれを求めていないことは明らかです。
 孫かと訊かれたとき、「まあ、そのようなものです。」とか「我が家の家族です。」とか曖昧な答えをしてしまうこともあり、相手の人は「???」となりますが、何か事情があって話せないんだろうなと考えるのか、やはりそれ以上の会話はなくなります。
 「里子です。」と紹介したとき、多くの人が「ああそうですか。」と普通に理解して受け止めてくれる社会になればいいなと単純に思います。


497 センニンソウ(仙人草) 2022/09/03
 今年も里山のあちこちにこの花が見られる季節になりました。調べてみたら、去年の9月6日の「里山だより」にこの花のことを書いて、画像もアップしていました。「年々歳々花相似たり」と言うとおり、戦争やコロナや災害で世の中は激しく変化していますが、野山の草花は毎年変わらずそこにあります。 
 昨年は、山歩きの途中に千倉の里山で撮ったのですが、この花はオレンジの敷地の中に咲いていたものです。


496 岸壁釣り 2022/09/02
 一週間ほど前、中学1年生の里子が釣りに行きたいと言い出しました。彼は、一年前にスケボーを始めてからそれ関連の話題ばかりで、それ以外の要求はほとんどありませんでした。久しぶりにスケボーとは違うことに興味を持ってくれたので、付き合うことにしました。
 夏休み中にはなかなかお互いの都合が合わなかったので、今度の日曜日の朝、二年ぶりくらいに釣りに行く予定を立てました。行き先は、彼が希望した魚市場のそばの岸壁です。ここは、この時期うまくするとアジやサバ子やイワシがけっこう釣れるところです。
 昨日の朝、散歩がてら一人で下見に行ったところ、平日の早朝にもかかわらず、かなりの人が並んで釣っていました。見ている間にもアジやサバ子などを釣り上げている人もいて、やはり良いポイントのようです。なんだか私も楽しみになってきました。 
 


495 9月1日 2022/09/01
 朝晩少し涼しく感じられる日が多くなってきましたが、今日から9月が始まります。中学1年生の里子の学校は、昨日で夏休みが終わり新学期がスタートします。
 自分の子どもの頃のことを思い出すと、二学期の始まりはとても嫌なもので、できれば仮病でも使って学校を休みたいと強く思っていました。それでも小学校、中学校を通じて、なんとか不登校にならず学校に通えていたのはどうしてでしょうか。
 全くの私見ですが、その理由として、一つには今ほどまわりに不登校の子どもが多くなく、そもそも社会に不登校という概念がなかったからではないでしょうか。社会全体に、病気で体調が悪いわけでもないのに学校を休むということ自体、あり得ないことと言う風潮があったように思います。二つ目は、私が子どもの頃は、テレビゲームもスマホもなく、家族や友達など周りの人たちとの付き合いがリアルだったため、子どもたちに学校というリアルな対人関係の場に対応する力が備わっていたからではないでしょうか。
 いずれにしても、うちの子はこの二日三日ちょっと落ち着きがなく不安定な感じがします。思っていることや感じていることを伝えるのが苦手な子ですが、彼は彼なりに新学期の始まりに大きなストレスを感じていて、それに耐えているのでしょう。


494 「隔てなく」 2022/08/31
 今日、オレンジとしては初めてのケースとなる応援ミーティングに参加します。
 半月ほど前、他県の児童相談所の里親担当者から電話が入りました。その児相から里子を委託中の里親が、千葉県内に転居したので、あらためて応援ミーティングを開催する。ついては、オレンジにも里親子に関わって欲しいので、出席を依頼したいとのことでした。
 このケースは、オレンジの5つの里親支援理念、「早期から」「切れ目なく」「個別に」「細やかに」「隔てなく」のうちの「隔てなく」を前提にしての関わりになると思います。また、他の自治体の里親支援を知る良い機会になると思っています。


493 平等な支援 2022/08/30
 テレビ朝日で放送中の「六本木クラス」を、子どもと一緒に毎回楽しく見ています。「六本木にある居酒屋「二代目みやべ」の店長である宮部新が、日本最大の巨大外食産業である「長屋ホールディングス」の跡取り息子が引き起こしたある事件により窮地に追い込まれながらも、跡取り息子に罪を償わせ、巨大な権力を利用して事件を揉み消した会長とともに土下座させるために復讐していく姿を描く。」竹内涼真演じる主人公の恋人役は、児童養護施設出身という設定です。彼女は「長屋」の会長の特別な援助を受けて大学を出て、「長屋」の中枢で働くキャリアウーマン(死語?)と言う役柄です。そして、彼女は恩ある会長への忠誠心と、主人公への恋心の狭間で揺れています。
 このドラマを見た人たちは、施設からは私的に特別な支援を受けないと進学できないような印象を持つかも知れません。しかし、近年公的な自立支援制度の拡大や民間の奨学金制度の充実が進んできて、社会的養護出身の子どもたちの進学の可能性は大きく広がっています。ドラマを楽しみながら、チラッとオレンジの役割を考えてしまいました。


492 お手伝い 2022/08/29
 うちの子は、この夏休みに入るまでは家の手伝いをほぼしませんでした。小学校の低学年の頃から、ときどき一緒にやろうと声をかけてきましたが、ゴミ出しも風呂掃除も一日やったら次からはやらなくなっていました。
 中学校の夏休みのしおりに、「生活の目標」の項目があって、自分で「親の手伝いをする」と書いていました。それをクリアすると一日の総合判定の欄に「A」と書けるのですが、夏休みの序盤までは学習や部活などの項目がクリアできても「生活の目標」ができずに、「B」を記入していました。ある日、里母が食器洗いを一緒にやろうと声をかけたら、その気になって慣れない手つきで洗っていました。
 昨日の日曜日、里母が外出した後少し多めの洗い物が残りました。彼がどうするか見ていたら、自分から洗い始めて手際よく済ませました。何がきっかけになるか分からないものですが、彼の場合、学校からの課題はモチベーションを高めるようです。


491 鴨シー 2022/08/28
 家で鴨川シーワールドの話をしていたら、レスパイトに来ている子が「私は行ったことはないけど、行った人から話を聞いているからよく知っている。」と言いました。うちの子は大好きで、彼の行きたい場所ランキングの中でも上位の場所ですが、コロナもあり最近連れて行っていなかったので、この際みんなで行ってみることにしました。
 鴨シーは、以前行ったときより何倍も混んでいて、暑さも手伝って大人はヘトヘトになりましたが、子ども二人は大興奮で走り回って、滞在した3時間余りをあっという間に感じたことでしょう。


490 夏の終わり 2022/08/27
 子どもが中学生になって初めての夏休みがもうすぐ終わります。コロナ禍の影響で、正常な時期ならどうだったろうと考えることはありますが、これまでのところ、彼なりに充実した夏休みを送ることができたのではないかと感じています。
 私自身の遠い記憶をたどると、夏休み終盤のこの時期は、何かうら寂しく切ない気持ちになったのを覚えています。それは、日本人特有の季節感に加えて、あまり時間に縛られず自分のしたいことをして楽しく過ごした夏休みが終わり、もうすぐ時間通りの規則正しい勉強中心の生活に戻るかと思うと、やるせない気持ちになったのだと思います。
 今、うちの子に聞いても微妙な心持ちを表現することは難しいと思いますが、おそらく私が数十年前に感じた切ない思いを彼も抱いているのでしょう。


489 ちょっとホッ? 2022/08/26
 近々予定されていた「ひかりの子学園」への訪問型ライブが、コロナ感染の影響で延期になりました。今回の訪問に対する期待は、7月28日付第460回の「里山だより」にも少し書きましたが、近くの児童養護施設と繋がることは、オレンジにとって様々な可能性を感じています。
 個人的に良かったことは、うちの中学1年生の里子が、そこで歌ってもいいと言いだして、練習にも参加するつもりになったことです。彼が好きなのは、Uチューブなどで聴いている一般にはあまり馴染みのない曲なので、話し合いの結果お互いに歩み寄って、WANIMAの「りんどう」とYOASOBIの「ツバメ」をオレンジ・バンドをバックに歌うことになりました。
 本番に向けて、バンドのメンバーに無理を言って音合わせの日程を組んだり、子どもと二人で練習を始めたりしていました。延期になってしまってがっかりですが、これから予想されたハードスケジュールを考えると、正直ちょっとホッとしてもいます。


488 影響を受ける? 2022/08/25
 昨日から、小学校1年生の女の子をレスパイトで預かっています。意思がはっきりしていてシャキシャキとよく動く、うちの中学1年生男子とは真逆のタイプで、六つ歳は違いますが、ほぼ対等に話をしています。
 夕食後、里父母とうちの子と女の子の4人で「ババ抜き」をしました。女の子は、一番にはなれませんでしたが、特にいじけることもなく、次は「しんけいすいじゃく」がやりたいと言うので付き合いました。これは私がビリで女の子は3番目でしたが、特に悔しがることもなくさっぱりしたものでした。
 レスパイトなので預かる期間は4泊5日と短いのですが、超マイペースのうちの子も、少なからず影響を受けるのではないかと思います。


487 里親のアセスメント⑪ 2022/08/24
 このシリーズのタイトルを「里親のアセスメント」としたことを少し後悔しています。それは、ここまで里親の情報収集の方法について書いてきていますが、アセスメントについてはあまりにも課題が多く、どこから手をつけて良いのか分からないのが現状と思われるからです。
 千葉県のホームページのQ&Aには、「里親登録については、認定基準に沿って可否が判断されます。例えば、養育里親であれば、要保護児童の養育についての理解及び熱意並びに児童に対する豊かな愛情を有していること、経済的に困窮していないこと、都道府県知事が行う養育里親研修を修了していること、禁固以上の刑に処せられるなど欠格事由に該当していないことなどが要件とされています。」とあります。
 研修の終了と、禁固刑以上などの欠格事由以外は、曖昧な基準でありどのようにも解釈できてしまうものだと思われます。まずは、この基準をもう少し具体的なアセスメントしやすい項目にあらためるべきと考えます。
 実際に子どもの委託を決定する児童相談所の判断基準となる里親のアセスメント項目についても、児相間で統一されたものはなく感覚的な判断となっていると思われます。アセスメントに関しては、課題が大きく幅も広いためこのコーナーでは整理できそうもないので、詳細への言及は他の機会に譲ることにします。


486 里親のアセスメント⑩ 2022/08/23
 登録している里親の全数調査を面接という形で実施するとして、ネックになると予想されることの三つ目は、里親自身の意識の問題です。登録里親の中には、登録後は支援機関の関わりを必要と考えない里親が少なからず存在します。子どもを委託されれている里親の中にも、児童相談所やその他の支援機関の訪問を遠回しに拒否したり、おっくうがったりする里親がいます。
 現在、制度的に義務づけされているのは、5年ごとに行われる更新研修への参加だけです。里親登録後の定期的な訪問の受け入れや、毎年何らかの研修を受けることを制度化するなどの改善策が必要と思われます。


485 ゴーストライター 2022/08/22
 シリーズをおやすみして、ちょっと別な話題にします。
 この夏休みの初め頃、うちの子は宿題の読書感想文の対象として、「鹿の王」(上橋菜穂子著・KADOKAWA・2015年本屋大賞受賞)を読み始めました。10日ほどかかってようやく読み終わったので、感想文を書くように言いましたが、「主人公が二人いてややこしい。病気の話で暗い。」などと言って一向に書き始める気配がありません。
 そこで、私が読まずに置いてあった「同士少女よ敵を討て」(逢坂冬馬・早川書房・2022年本屋大賞受賞)を読むように声をかけてみました。以前この小説を薦めた時は「ウクライナを侵攻しているロシア人が主人公の物語は読む気にならない。」などと言って手に取ることもしませんでしたが、今回はなぜか読み始めて、読み出したら面白かったようで、あっという間に読んでしまいました。
 今、彼からあらすじや感想を聞き取りながら、私が文章を書いて彼がそれを原稿用紙に書き写す作業を進めているところですが、6~7時間かかってやっと3/5枚が終了したところで、完成するには10時間以上かかりそうです。


484 里親のアセスメント⑨ 2022/08/21
 これから毎年、登録している里親の全数調査を面接という形で実施するとしたら、どんなことがネックになるのでしょうか。
 千葉県には現在、600組に迫る数の登録里親がいます。そのため、課題の一つは、全数調査に膨大な手間と経費がかかるということです。これを解決するには、県が里親の情報のアップデイトの必要性を理解して、ここに予算をつけることからスタートすることだと思われます。
 二つ目の課題は、里親に関わる体制の中心が児童相談所であるための問題ですが、特に未委託里親の調査は、委託を決定する児童相談所が調査を担当していると、未委託の原因などに踏み込みづらく、しっかりした調査ができません。この問題は、この調査を他機関に委託することで解決するのではないかと考えています。


483 里親のアセスメント⑧ 2022/08/20
 里親の変化は、これまでにあげた例のような物理的変化だけではありません。意識や気持ちも大きく変化することが多いです。例えば登録前は縁組みにこだわっていても、研修やカフェ等で他の里親の意見を聞き、養育もいいなと思い始めたり、小さい女の子の委託を希望していたが、もっと大きい子でも男の子でも良いと考えが変わったり。ファミリーホームを知って自分たちもやりたいと思ったり。また、自分たちの年齢が高くなってきたので、乳幼児を受けるのは難しくなったと感じ始めたりする場合もあります。
 里親家庭の物理的な変化や意識の変化は、常に起こっていると考えるべきで、そのことは里子の養育にも少なからず影響するものです。このような情報をアップデートするためには、「個別に」「細やかに」の理念のもと、毎年全登録里親を対象に面接調査を行うべきだと思っています。


482 里親のアセスメント⑦ 2022/08/19
 なぜ里親家庭の情報のアップデートが必要か、あらためて考えてみます。一般家庭と同様、里親家庭にも様々な変化が起こります。例えば、同居している里親の親が高齢となり介護が必要となったとか、実子が高校や大学入試の時期となった、あるいは里父母どちらかが仕事を辞めたなどです。これらには、里子を養育していく上でマイナスな変化もあれば、プラスとなる変化もあります。
 上記のような大きな家庭環境の変化でなくとも、小さな変化は常に起こっていると言っていいと思います。そして、それは当然子どもを養育する環境の変化につながります。 定期的にアップデートされた里親家庭の情報から、委託する里親の選定が行われることが、いわゆる里親不調を減らして行く方法の一つと思われます。

 オレンジの郵便受けのウマオイ


481 里親のアセスメント⑥ 2022/08/18
 次に、里親家庭の情報のアップデートの方法について考えてみます。現在行われているアップデートの方法としては、子どもを委託している里親を対象に郵送のアンケート方式で毎年行われるA4片面1枚の「委託児童現況報告」があります。それ以外に統一された情報収集の方法はなく、子どもを委託する際の面接と、委託後にランダムに実施される家庭訪問や状況確認の電話から情報を得るにとどまっています。
 このシリーズの冒頭に述べましたが、登録里親すべてを対象とした情報のアップデートをする方法はなく、未委託で特に先方からの発信のない里親は、情報のアップデートがないまま何年も経過してしまいます。
 ところで、昨日のこのコーナーは以前書いたものと同じ文章をアップしてしまったので、新しいものと差し替えました。お詫びいたします。

 陣谷温泉(8月11日474号参照)


480 里親のアセスメント⑤ 2022/08/17
 現在児相が行っている3つの面接以外の情報収集法として、オレンジが行っていることの一つは、登録前研修と更新研修でのグループ討議の記録の蓄積です。登録前研修と更新研修は法定研修であり、すべての里親が参加します。そして、面接という限られた場面ではなく他の里親希望者もしくは里親という、同じ立場の人たちとの話し合いの場面では面接とは別な情報が得られます。このグループ討議での情報の蓄積と整理を進めて行ければと考えています。
 もう一つの可能性としては、施設実習の記録の統一と整理です。登録前研修と更新研修で実施される施設実習は、免除される受講者もいますが、基本すべての受講者が対象となっています。そして、施設での実習記録が管轄の児童相談所に集約されることになります。しかし、現状は各施設の実習受け入れ体制が統一されておらず、実習記録が有効なアセスメントの情報として活用されていないと思われます。施設との連携のもと、基本的な実習受け入れ体制統一が必要と考えています。
 
 Tレックスの歯のキーホルダー


479 お盆休みの定番 2022/08/16
 お盆休みに田舎に行くと、暇な時間が必ずできます。そこで映画でも見に行くかとなります。今回の休みも、台風の影響で信州にも大雨が降るという予報もあり、私と子どもと二人で、松本市郊外の大型商業施設内にあるシネコンに映画を見に行くことになりました。選んだ映画は、「ジュラシックワールド -新たなる支配者-」でした。
 「至る所に恐竜が住み着き「ジュラシック・ワールド」と化した世界。人類は恐竜と共存しようとするが、生態系の破壊という問題が浮上する。研究者たちは、恐竜を守るということを仕事にしている一方で、さまざまな課題に直面し、葛藤していく。」相変わらず荒唐無稽なストーリーですが、2時間半、大迫力に圧倒され通しで十分楽しめました。
 帰りに売店でパンフレットと、子どもは恐竜のフィギアのボトルキャップを、私はTレックスの歯のキーホルダーを買いました。


478 命の洗濯 2022/08/15
 昨日、里母の実家近くの「奈川高原マレットゴルフ場」に家族で行きました。ウキペディアによれば「マレットゴルフは、ゴルフに比べ非常に安価にプレイ(1プレイ数百円程度)できる。当初は、ゲートボールのスティックやボールでプレイされていたが、現在は専用のスティックとボールが使用されることが多い。現在、もっとも盛んにプレイされているのは長野県で、河川敷や里山など、適した土地が次々とマレットゴルフ場に整備されている。」と解説されていて、とても手軽なスポーツです。
 実子たちも小さい頃から何度もこのコースで遊んできましたが、中学生になった里子も大好きなスポーツです。「奈川高原マレットゴルフ場」は数少ない本格的な山岳コースで、18ホールすべてを回ると3時間から4時間ほどかかります。白樺林を進むコースはアップダウンが激しく、そこここに渓流が流れていて遠く乗鞍岳も望むことができます。大自然の中に、スティックで木のボールを打つ「カーン」という乾いた音と笑い声が響く、とても優雅な時間を過ごすことができました。


477 笑いの質 2022/08/14
 昨日の夜、里母の実家でシャワーを浴びて着替えをしていると、居間の方から里子と私の実子とその配偶者たちの笑い声が聞こえてきました。どうやらトランプのババ抜きを始めたようです。私は少しお酒を飲んでいたので、そのまま布団に入ったのですが、明るい笑い声は続いていました。眠りに入りながら、おぼろげに笑いの質が違うのではないかと考えました。
 普段子どもは、YouTubeを見たりNintendo Switchでゲームをしている時も笑ったりはしますが、声の質が全く違うようです。トランプをしている時の笑いは、嫌味のない底抜けに明るい笑い声で、聞いているこちらも楽しくなるようです。一方、ゲームやYouTubeの笑い声は、嫌味があり耳障りがします。
 どちらの笑いが子どもにとって良いのかは、脳科学の専門家が研究データを集めなくても明らかなのではないでしょうか。


476 帰りたい場所 2022/08/13
 里母の実家には、一昨日から明日まで3泊4日の予定ですが、まるで別荘のように快適に過ごしています。昨日は松本市内まで降りて行って、子どもはスケボーパークで滑り、私たちは買い物をして帰ってきました。
 今日は娘夫婦が東京から、息子が仙台からそれぞれ集合します。久しぶりに全員が顔を合わせることになりますが、気になるのはコロナと台風です。私は台風を押してまで遠方から来る必要はないと思っているのですが、彼らの「おばあちゃんの家」がとても懐かしく帰りたい気持ちはよく分かるので、「来てはいけない」とは言えません。


475 我が家が一番 2022/08/12
 昨日から里母の実家に、家族3人で泊まっています。ここは、5年前におばあちゃんが南房総の我が家に同居するようになって以来、無人になっていました。それからは何回か、里母が1人帰って風を通したり掃除をしたりしましたが、泊まるには大掛かりな掃除をしなくては無理と思っていました。
 今回も当初は実家近くのペンションに泊まるつもりで予約しましたが、一週間ほど前になってペンションから「コロナも広がっているし、無理にとは言わないが宿泊はキャンセルしてくれないか。」という趣旨の電話が入りました。
 もともとみんな実家には愛着を持っているので、それならばと覚悟を決めて実家に宿泊することにしました。昨日の昼頃、意気込んで中に入ってみると案に相違して、埃も溜まっていないし、カメムシの死骸も二つ三つほどでした。布団を干してバルサンを焚いて床などの拭き掃除と汗を流しました。幸い電気と水道は通っていたので、トイレやシャワーなども使える状態で、思っていたよりは快適に過ごしています。
 里子は「やっぱり自分の家はいいなあ。でも一番いいのは館山の我が家だなあ。」などと分かったようなことを言っています。


474 陣谷温泉 2022/08/11
 昨日の午後、長野県松本市にある里母の実家に向けて、里父母と里子の3人が車で出発しました。いつもは千葉から一気に実家に行くのですが、今回は中央高速の相模湖インターで降りて、陣場山の麓にある温泉宿に泊まりました。
 本当にインターネットも繋がらない鄙びたところで、今日「山の日」には沢山のお客があるそうですが、今は我々家族3人だけで怖いくらいです。
 宿泊する部屋には名前がついていて、我々の部屋は「山里」です。

473 里親のアセスメント④ 2022/08/10
 里親の情報量の少なさの次に課題となるのが、情報の収集方法が現在のところインテーク面接と家庭訪問による面接と所長面接の3つで、面接によるものだけになっていると言うことです。この3つは里親になるために必須の面接なので、登録する里親すべてに実施され情報として蓄積されていきます。しかし、その他の場面での情報を集める正式なシステムは確立されていません。
 里親の情報を得るのに他にどのような方法があるのか、考えてみたいと思いますが、私は今日からしばらくの間夏休みに入り、家族と一緒に長野県の実家に行くことになります。そこはインターネットも届かない辺鄙なところですので、このシリーズは一旦おやすみにして、旅先から短い文章と写真などがお届けできれば良いと考えています。悪しからずご了承ください。


472 里親のアセスメント③ 2022/08/09
 現在児童相談所には、前述の3つの面接以外にも様々な情報が入って来ます。しかし、それらは里子を委託する際に行われる面接であったり、里親手当についての質問の電話だったりを通してのものであり、未委託里親や連絡のない里親に繋がるものではなりません。また、各児相が別々に行っているアンケート調査も統一されたものではなく、アンケートに対する回答のない里親もいます。
 現状では、里親登録後未委託のままで里親側からの発信がないと、10年以上全く新しい情報がない里親が数多く存在すると推測されます。そんなケースでは、委託がないことと里親の年齢も上がるため、当初の熱意もすっかり冷めて里親登録を辞退することになります。これは、貴重な社会資源の喪失ではないかと考えます。


471 里親のアセスメント② 2022/08/08
 現在児相が行っている情報収集の課題としては、大きく次の三つがあげられると思います。まず一つ目は情報量が圧倒的に少ないこと。次に、情報収集の方法が面接という形式に限られていると言うこと。三つ目は、情報のアップデートをするシステムがないと言うことです。
 一つ目の情報量の課題から見ていくと、里親全員を対象とした公式の情報収集は、登録前に行われる3回の面接のみとなっています。そして、基本的には何年経過してもこの限られた情報から里親候補をアセスメントして選定することになります。このため、個々の里親家庭についての情報を大幅に増やす改善策が必要と思われます。


470 里親のアセスメント① 2022/08/07
 児童相談所が社会的養護の対象児を里親委託する際、選考対象の里親の情報が必要です。そして、その情報を整理してアセスメントをしたうえで委託する里親を決定することになります。
 現在千葉県の場合、児童相談所は次の3つの場面で里親の情報を得ています。一つ目は、里親希望者とのインテーク面接です。これは、里親になりたいという電話等での連絡を受けた後に、児童相談所に来所しての面接で、里親担当の職員が里親希望者から住所、家族構成や里親登録の動機等を聞き取ります。二つ目は、里親研修受講後に担当者が家庭訪問をして職業、資産、収入、家族構成、里父母以外の意見等を聞き取る面接です。三つ目は、児相長が直接里親希望者と面接する「所長面接」です。
 今日から何回かのシリーズで、現在行われている情報収集とアセスメントの課題を整理したうえで、それらの具体的な改善策を提案してみたいと思います。


469 継続の危機 2022/08/06
 お盆休みに長野県の妻の実家に墓参りを兼ねて、久しぶりに家族で出かけます。実家は無人になって久しいので、周辺の三ヶ所の宿に泊まる予定を立てています。そのうちの一ヶ所に昨日電話を入れました。その宿は、家族で登る予定の山の登山口近くの秘境にあるので、インターネットの接続が可能か確認するためです。結果は、心配していたとおりでした。
 この「里山だより」は、去年の5月に書き始めて今日でタイトル前の数字と同じ469回を数えます。長野に出発までに、このコーナーを途切れずに継続させる方法を見つけるつもりです。


468 ちょっとホッコリ 2022/08/05
 実子の娘から妻にLINEが来ました。「ロサンゼルスに来ていて、これから日本に帰るところだ。里子にお土産を買いたいがどれが良いか。」と数枚のTシャツの画像を送ってきて、LINE電話でも里子と直接話をして2枚のTシャツに決まりました。まるで仕事帰りに寄った近所のスーパーから何か必要なものがあるか聞いてきているみたいな感覚です。
 お土産を決める方法としては少しびっくりしましたが、海外に行っても里子のことを気に留めていてくれたことにちょっとホッコリしました。


467 自由なセッション 2022/08/04
 新しい音楽ユニット「こっしぇる」の初舞台が、8月18日(木)に開催される本店カフェと決まりました。「こっしぇる」は、アコースティックギターとカホンとタンバリンの3つの楽器で構成するユニットで、歌唱の担当がいません。深く考えて始めたことではありませんが、結果的に3つのパートにボーカルをプラスして完成するユニットになりました。
 最近オレンジに通所するようになった中学生の女の子は、ボイストレーニングやギターのレッスンも受けている音楽好きな子です。自然な流れで「こっしぇる」のボーカルに誘って一緒に練習するようになり、本店カフェでデビューすることになりました。「こっしぇる」は、色々な子どもたちと自由なセッションができる音楽ユニットを目指すことになりそうです。


466 読書感想文 2022/08/03
 夏休みの宿題の定番の一つは、読書感想文です。中学1年生の里子の宿題にも出ました。原稿用紙5枚。聞いただけでもうんざりします。
 この子には、ごく小さい頃からたくさん本を読んでやってきました。そのせいか、好んで本を読むようになり、日常的に様々なジャンルの本に親しんでいます。一方彼は、まとまった文章を書くのをとても苦手としているので、感想文を書き始めたら、手取り足取りの手伝いをしようと考えています。これから先、ずっと本が好きな彼でいて欲しいと思いますから。


465 選択肢を増やす 2022/08/02
 よく言われていることですが、子どもにとって夏休みは時間に余裕があるので、普段できないようなことを経験するのが良いと、私も思います。でも、うちの子が夏休みが始まってからしていることは、スケボー、夏休みの宿題、読書、テレビ、ゲーム、Uチューブと普段とほぼ変わらない生活です。
 8月に入って、夏休みも残り一月ほどになりました。これから彼に経験して欲しいことは、美術館巡りやライブやコンサート等の音楽鑑賞、あるいは野球、サッカーなどのスポーツ観戦などの他にも様々考えられます。コロナ禍ではありますが、普段はできないようなことを一つでも多く体験させてやり、彼の選択肢を増やしてやりたいと思いますが、いくつ実現できるか自信がありません。


464 出演交渉 2022/08/01
 今年の11月に開催されれば、6回目となる「ハッピーファミリー音楽祭」には、里親子の出演も多いです。うちの子は初回から5回目まで連続参加してきました。私としては、今年も出演して欲しいのですが、4回目当たりから出演交渉が難しくなってきています。初回は何の見返りも求めず、すんなりと一緒に歌っていたのですが、そのうちに何かご褒美を要求するようになりました。こちらとしては、プラモデルやゲームソフトくらいなら出演料として安いものだと思っていましたが、最近は「そういう問題じゃない。」などと言い始めています。確かに彼の中学1年生という年頃を考えれば、これまで参加してくれていたことだけでもありがたいです。
 今年もそろそろ出演交渉を始めようと思っていますが、去年で卒業だったのかとあきらめる覚悟はしておかなければいけないでしょう。


463 人とのつながり 2022/07/31
 うちの子の夏休みが始まってから10日ほどたちました。スケボーも勉強もしっかりやりながら、読書やゲーム、テレビなども楽しめているようです。昨日からは「夏休みのしおり」に学校で自ら書いた目標の、「ゴミ出しと食器洗い」もやるようになりました。ここまでは、私の子ども時代とは比較にならないほど充実した夏休みのスタートとなっています。
 しかし、相変わらずコロナの影響は色濃く、予定されていた東京と横浜の里父母の親戚の子どもたちの来訪は中止になってしまいました。残っているのは、お盆の時期に予定している長野県の里母の実家のある限界集落への旅行だけです。これも無人の実家の近くのペンションに宿泊しながら、実家の掃除をしたり墓参りをしたりするだけで、うちの子が将来的につながる人との接触は期待できません。
 彼の実家庭には余り期待できないので、今のうちから色々な人との関係作りをさせたいと考えていますが、コロナ禍で思うように進みません。


462 夢がかなう? 2022/07/30
「心の中 いつもいつも描いてる 夢を乗せた自分だけの世界地図 空を飛んで時を超えて遠い国でも ドアを開けてホラ行きたいよ今すぐ 大人になったら忘れちゃうのかな そんなときには思い出してみよう シャララララ 僕の心に いつまでも輝く夢 ドラえもん そのポケットでかなえさせてね シャララララ 歌を歌おう みんなで手をつないで ドラえもん世界中に 夢をそうあふれさせて」 
 この「夢をかなえてドラえもん」は、テレビアニメ「ドラえもん」のオープニングテーマとして長く歌われて来ました。今は「どどどどどどどどど ドラえもん」の歌詞が印象的な星野源さん作詞・作曲・歌の「ドラえもん」に変わっていますが、個人的には「夢をかなえて~」の方が好きで、家ではギターの弾き語りで一人歌ったりしてきました。
 ちょっとしたきっかけがあり、この歌を先日の鋸南町出張リズムでオレンジバンドとして初披露しました。これから夏休み中に訪問する予定の「びっき」と「ひかりの子学園」でも演奏することになりそうで、なんだか夢がかなうような気がしています。


461 施設養護と家庭養育⑪ 2022/07/29
 このシリーズを始めるに当たって、「施設と里親を比較した場合、個別に丁寧な養育ができる里親の方が子どもが育つ環境として優れている。国もそれを認めていて大きく動き始めている。しかし、現状は里親委託率は思うように上がっていない。」と現状に対する考えを述べたあと、「委託率が上がらない原因をいくつかあげて、それらに対する具体的な改善策を提示する。」と論を展開するイメージを持ってスタートしました。
 しかし、テーマが大きすぎてこのコーナーで意見をまとめていくとしたら、一月分30回をこれにあてても収まりがつかないと気づきました。なんとなく始めてしまった結果、デリケートな問題を短い文章で無理矢理まとめようとして、かなり雑に切り込んでしまいまい、誤解を招くことも予想されます。
 尻切れトンボのような状態になってしまって申し訳ありませんが、今回のテーマについては、あらためて別な機会にじっくりと取り組んで、違う形で発表できたらと考えています。(シリーズ終了)


460 「家族ぐるみ」 2022/07/28
 施設と里親シリーズは一回おやすみにします。
 今週の初め、館山市にある児童養護施設「ひかりの子学園」を訪問しました。色々なお話をしましたが、今後関係を深めていきましょうと言うことになり、その場で学園の子どもたちが、オレンジが夏休み中にやるイベントに参加してくれることが決まりました。その後昨日までに、子どもたちが富浦でスケートボードを始める話も大きく前進しました。さらに夏休みの後半、オレンジ・バンドが学園を訪問することも決まりました。
 オレンジの本拠地から片道30分ほどの距離にある施設なので、これから学園とオレンジのちょっと大きめの「家族ぐるみ」のお付き合いが始まるかも知れないとワクワクしています。


459 施設養護と家庭養育⑩ 2022/07/27
 里親家庭の方が愛着関係が築かれている場合が多いので、そもそも問題行動は起こりにくいだろうとの仮説はあるものの、思春期などのタイミングでやはり問題行動は起こります。里親家庭では、以前このコーナーで取り上げたように養育のキャパシティーに差があるので一概には言えませんが、一般的に児童相談所と里子の現状の情報共有するタイミングも方法も分からないことは共通しています。早い段階でオレンジに相談できれば、様々な対応方法を提示することができると思いますが、長期間家族だけで悩んでギリギリの状態で児童相談所の知るところになるケースも多いです。その結果、措置変更等が行われ里親里子ともに深く傷つくことになります。これを一般的には「里親不調」と呼んでいます。
 一方、施設からの措置変更等のケースは「施設不適応」と呼ぶことが多く、決して「施設不調」とは言いません。この辺りに施設と里親の違いを考えるヒントがあるのかも知れません。


458 施設養護と家庭養育⑨ 2022/07/26
 激しい問題行動が起こったとき、施設では当該児童から他の子や職員を守るという意味で措置変更等が行われることが多いと思われます。そしてその場合、SOSは施設側から発信されることが圧倒的に多いです。施設で子どもたちと直接関わるスタッフは、経験年数の少ない人たちですが、施設長や主任クラスの職員は長年施設養護に携わってきているので、児童相談所に相談するタイミングや流れなどを知っています。そしてSOSが出された多くのケースは一時保護後に措置変更もしくは措置解除になります。
 かなり個人的な意見であることをお断りした上で言うと、日々子どもと接しているスタッフは児童相談所に相談することを躊躇します。そして一時保護後にもう一度施設に帰ってくることを期待します。これに対して、施設長や主任クラスは施設全体のことを考えて措置変更等に対して積極的です。(これはあくまで一般論で、施設によって対応が違う場合もあります。)
 それでは、里親家庭で問題行動が起こったとき、里親はどう考えるのでしょうか。
 
 
457 施設養護と家庭養育⑧ 2022/07/25
 私は児童養護施設で指導員として働いているとき、子どもの問題行動が原因の措置解除と措置変更を何回か経験しました。施設では複数の子どもたちが一緒に生活していますから、一人の子どもの問題行動を他の子どもが見聞きすることになります。一つ例を挙げれば、他の子どもに対してや職員への度重なる暴力があった場合、施設にいる子ども全員が知るところとなります。
こんな状況になると、他の子どもたちへの悪影響を防ぐため、施設から児童相談所にSOSが出て、措置変更や措置解除の決定がなされる場合があります。施設のキャパシティーによって違いはあると思いますが、遅かれ早かれこのような流れになります。
 里親の場合を考えてみます。措置される年齢や措置されてからの期間にもよりますが、里親家庭での養育では里親子間での愛着が形成される可能性が高く、そもそも問題行動が起こりにくいとの仮説が立てられるのではないかと考えます。だれかこれに関する調査をしてくれるといいと思います。
 この仮説が正しかったとしても、里親家庭でも問題行動は起こります。次回は、問題行動が起こったときの施設と里親の対応の違いについては考えてみます。

456 施設養護と家庭養育⑦ 2022/07/24
 では、あらためて社会的養護分野における専門性について考えてみます。必要と思われる専門性をざっとあげてみます。①子どもの成長・発達についての理解。②社会的養護についての理解。③子どもの人権についての理解。④非暴力による養育についての理解。⑤チーム養育についての理解。⑥関係機関の役割についての理解。以上の項目があると思われます。これらについては、座学でも一定程度習得が可能な専門性だと思われます。
 一方、専門性と言えるかどうか分かりませんが、私は次の二つの要素も大事ではないかと考えています。一つは、子どもに対して愛情を持って養育できること。これは施設での養育でも里親家庭での養育でも必要な要素ですが、短期間の座学研修や施設実習では習得できない課題だと思われます。もう一つの要素は、子どもの処遇(措置解除・変更等)は児童相談所の決定によることを理解していて受け入れられることです。
 次回に続きます。


455 何もない休日 2022/07/23
 シリーズはおやすみにして、我が家の里子の話をします。
 昨日の夕方、スケボーパークからLINEが来ました。うちの子がスケボーで転倒して膝を強打したとのことで、腫れている足の画像も添付されていました。すぐに迎えに行ったのですが、その後痛みが和らいだようで少し滑ったりしていました。今日は念のためスケボーはおやすみにして病院で診察してもらいました。結果は骨に異常はなく、単なる打撲とのことで一安心しました。
 彼にとっては久しぶりに何も予定のない休日になったので、ちょうどアマゾンから届いたF14のプラモデルを夢中になって組み立てています。F14は、先日私も一緒に見た映画「トップガン・マーベリックス」に出てきたジェット戦闘機です。


454 施設養護と家庭養育⑥ 2022/07/22
 ところで、今更ですが子どもを養育するに当たっての「専門性」とはどんなことか少し考えてみます。それも「社会的養護を必要とする子どもに対しての」、という括弧つきの専門性について考えることになります。
 そもそも、一般家庭で考えれば、自分の子どもを養育するに当たっては専門性など求められていません。最近でこそ、子どもを虐待してはいけないとか子どもの意見を聞かなければならないとかが法律で定められましたが、一昔前までは「自分の子どもは、それぞれの家庭で自己責任で好きに育てて良い。」という風潮があったと思います。ところが核家族化が進み、少子化も相まって、子どもは社会がある程度責任を持って育てるべきであるという考え方が出てきています。
 そんな中、社会的養護分野の養育の専門性について考えてみますが、長くなりそうなので次回に続けます。


453 施設養護と家庭養育⑤ 2022/07/21
 このように里親の専門性が低いことは里親養育の弱点と言えるのですが、では、対する施設養護は専門性が高いと単純に言えるのでしょうか。
 初めにあげた施設職員の勤続年数から考えてみると、今の施設職員の年齢構成は、大学や専門学校を出てすぐに施設に採用された経験が2~3年の児童指導員や保育士と、施設長や主任クラスの勤続20年~30年のベテランに2極化していると思われます。この結果、平均は7,7年に治まっていますが、子どもたちと日頃から直接関わるいわゆる寝食を共にするスタッフの平均勤続年数は、とても低いのではないかと推察しています。 そして現場でどんなことが起こっているかというと、二十歳そこそこのついこの間まで親に世話をされていた若者が、きょうだいのような年齢の施設入所児童の食事、入浴など身の回りの世話をしていて、一種の「ヤングケアラー」とも言える状況が生まれています。 


452 施設養護と家庭養育④ 2022/07/20
 乳幼時期は、特定の養育者との関係が大事だと言うことを前提に考えれば、国や県などがかけ声をかけているにもかかわらず、どうして要保護児童の里親委託が大きく伸びず、乳児院や児童養護施設が大きな存在であり続けるのか。その理由の一つに里親の専門性の低さがあると思われます。
 個人の家庭である里親家庭での養育は、当然養育に対する考え方や能力にばらつきがあります。これを一定レベルまで質を引き上げるために里親認定前研修や5年ごとに実施される更新研修の受講が義務づけられています。しかし、認定前では3日間の座学と2日間の施設実習、更新では座学と施設実習それぞれ1日ととても簡易なものになっています。私は認定前研修では少なくとも座学1週間、施設実習は2週間は必要だと考えています。しかし、私の案のとおりに研修時間を増やすと里親登録者は激減して、社会的養護の受け皿としての里親数を増やすという国の方針は上手く進みません。このため研修の見直しは行われないままで、いつまでたっても里親の専門性が上がらず、児童相談所や施設からの里親養育の評価が低いままの現状が続いています。
 
451 施設養護と家庭養育③ 2022/07/19
 児童相談所が一時保護している子どもの処遇を決める会議で、里親委託方向として進んでいるケースでは「個別的な関わりが必要なため里親委託が適当と思われる。」と言う意見が乳幼児ケースに限らずよく出されていました。私が児相で働いていた10年以上前のことですから、今は違う表現が使われているかも知れません。
 言葉尻を捉える訳ではありませんが、この意見では、逆に考えると個別的関わりが少なくて良い、施設入所の方が適している子どもが存在すると言うことになります。当時は「子どもの年齢が高くなってくれば、交替制勤務でも影響は少ないだろうとか、集団で育つことが適している子どももいるのだろう。」などと自分を納得させていました。しかし、その後里親子支援に深く関わるようになってから、当時感じていた違和感はますます大きくなってきています。


450 施設養護と家庭養育② 2022/07/18
 このシリーズを書き始めるに当たって、お断りしておくことがあります。これから私が書くことはあくまでも私見であって、NPO法人としてとか児童家庭支援センターとしての考え方を表すものではないと言うこと。また、いわゆる論文ではないので、正確なデーターに基づいたものではなく、単に普段考えていることをまとめたものと理解していただきたいことです。 
 そのことを前提に、まず、愛着形成について考えてみます。「人は3歳までに結ばれる特定の養育者との関係が愛着を形成し、それがその人のその後の成長発達に大きく影響する。」という学説があります。これをベースに考えれば、乳幼児にとって、交替制勤務が原則である乳児院での養育より、基本的に24時間365日、里母が中心となって養育する里親養育の方が良い環境であると言えます。


449 施設養護と家庭養育① 2022/07/17
 最近、児童養護施設の職員とじっくり話す機会がありました。様々なことを話す中で、その施設では職員の平均勤続年数が10年を超えるという話が出ました。全国社会福祉協議会が2016年に発表した調査結果では全国平均7,7年だったので、その方の施設は、長く働ける職場環境の良い施設であると言いたかったのでしょう。でも、その後に続けて、「新しい人が入ってこない。」とも言っていました。
 新規採用がままならないのは、その施設が過疎地域にあるという地域性と、施設職員には夜勤があると言うことがネックになっているのではないかと改めて考えてしまいました。そんなことから、次回以降少し施設養護と里親養育を比較しながら、子どもにとってより良い養育環境について考えていきたいと思います。


448 ライブの意味 2022/07/16
 今日は一宮町にある児童養護施設「一宮学園」への訪問型ライブの日です。去年の5月に初めて、オレンジバンドが袖ケ浦市の児童養護施設「びっき」を訪問して音楽を届けるスタイルのライブを始めて以来、今日がようやく2回目です。
 今回のライブの特徴は、東上総児相管内の里親支援機関の主催であることと、ステージに里親と子どもが立つと言うこと、観客に施設の子どもと職員に加えて、里親子が参加してくれることです。
 里親子と施設児童と職員、里親支援機関が自然な形で交流する場を提供するという目標に向けて、ここ数年大がかりな仕掛けをしてきましたが、なんとか形になってきたと感じています。


447 昭和の夏⑥(お祭り) 2022/07/15
 コロナがまん延する以前から、私の住んでいる地域のお祭りの規模がどんどん小さくなってきていました。子どもの頃の館山地区のお祭りでは、500mも続いていた屋台の列が最近では3分の1以下になって来ていたし、南房総最大の祭り「やわたんまっち」では、最盛期には海岸道路付近まで屋台であふれていたのが、この頃は国道近くの鳥居からと半分以下になっていて、こちらもかつての賑わいは遠い昔の感がします。
 お祭りに限らず、コロナ禍で全国的に中止になったり縮小したりしている年中行事も多いと思われますが、感染が治まったとしても元には戻らず、昭和の夏のなごりはさらに衰えてやがて消えていくのでしょうか。

446 昭和の夏⑤(蚊取り線香) 2022/07/14
 「日本の夏 キンチョーの夏」。今でも続いているお馴染みのコマーシャルの決め台詞(キャッチコピー?)です。最近では無煙の電気式の蚊取り器が主流になってきていますが、昔ながらの渦巻き型で、煙が立ち上る蚊取り線香もまだしぶとく生き残っています。大分前に容器に工夫が施され、腰に容器をぶら下げるタイプが出てきて、畑仕事や草むしりの際に愛用している方も多いのではないでしょうか。
 これまでの回は、視覚や聴覚から昭和の夏の記憶をたどっていたのですが、今回は嗅覚の占める部分も大きく、蚊取り線香の香りに昭和の夏を感じる人も多いのでしょう。

445 昭和の夏④(ラジオ体操)2022/07/13
 10年ほど前までは、夏休みの早朝に用事などがあって出かけると、そこここからラジオ体操の音楽やかけ声が聞こえてきました。お寺の境内や公民館の庭などに眠そうな顔をした子どもたちが集まってきていて、体操が終わると子ども会の担当者が出席カードにハンコを押してくれました。中には、パジャマ姿のまま泣きながら親に連れてきてもらう子の姿もあり、様々なドラマが展開する場でもありました。
 細々と続けている地区もあるようですが、日本の夏から消えゆく風物詩の一つでしょう。

444 昭和の夏③(セミ採り) 2022/07/12
 このところ蝉を採っている子どもの姿をとんと見かけなくなりました。そもそも少子化で子どもが少ないこともあるのでしょうが、主役の蝉も少なくなってきているような気もします。地球温暖化で各地で見られる蝉の分布にも変化が見られるとの研究もあるようで、昔はよく見かけた「ニイニイゼミ」はほぼ見られなくなっていますし、「アブラゼミ」や「ミンミンゼミ」の鳴き声もまばらになったように感じます。
 また、子どもの遊びが多様化して、わざわざ暑い外に出ていって蝉を採ることに魅力を感じなくなっていることもあるでしょうし、塾や習い事をたくさんやらされていて、余暇が少ないこともあると思います。
 もし大きな原因が地球規模のところにあるとすれば、蝉を採る子どもの姿は記憶の中だけのものになってしまうのでしょう。


443 人生の楽園 2022/07/11
 どうしても早く書きたいことができてしまったので、始めたばかりの「昭和の夏」シリーズは一回お休みします。
 テレビ朝日で放送している「人生の楽園」を何の気なしに見ていたら、今回は鴨川が舞台でした。「鴨川市江見に住む山口さん夫婦の生活に密着。2人はことし3月にオープンしたばかりの観光農山、花笠山の手入れを行っていた。昭和40年代、この地は花の栽培が盛んな花の町だった。標高70mほどの花笠山は一面花に覆われていた。2人はそのふるさとの山を復活させ、花摘みが収穫体験ができるよう整備している。」
 途中から山口さんのご主人の顔、どこかで見たような顔だなと思っていたのですが、番組の終盤、家族でバーベキューをしている場面に登場した山口さんの息子さんは、うちの子の小学校6年生の時の担任の先生でした。


442 昭和の夏(暗闇) 2022/07/10
 夏と聞いて「暗闇」を思い浮かべるのは私だけでしょうか。お祭りや花火大会に家族と歩いた行き帰り、夜道の暗がりは記憶に深く残っています。家で花火をやるときも、花火が光っていないときは暗闇でした。キャンプ場では、テントとトイレが離れていて、夜中に行きたくなると誰かを起こして付き合ってもらったりしました。それ以前に、田舎の家は外にトイレがあったりしましたが、これは季節を問わない暗闇体験でした。
 最近は都会はもちろん、田舎でも真っ暗闇という状況は少なくなってきていて、昭和の夏が一つ、消えつつあるのではないでしょうか。

441 昭和の夏①(ザリガニ採り) 2022/07/09
 昨日のこのコーナーで、アイスキャンディー売りのイラストを載せました。子どもの頃、夏になると「ピー」という笛の音を響かせながら、青々とした田んぼの向こうから、自転車の荷台にアイスキャンディーの入った箱をのせて売りに来ました。毎年この頃になると思い出す、今はなき昭和の夏の風物詩です。
 他にも消えてしまったあるいは消えかかっている「昭和の夏」のことを考えていたら、ザリガニ採りを思い出しました。。当時は、田んぼの端の水たまりにザリガニなどがいて、子どもたちの良い遊び場になっていました。

440 ネーミング 2022/07/08
 私は新しいものが好きです。もっと言うと、これまでになかったものを作り上げていく行程が好きです。そしてそれが形あるものであれば新しい名前をつけたくなります。
 現在オレンジでは様々な企画が進行中ですが、少し前にこのコーナーで書いた里親だけで編成された音楽ユニットもそのひとつです。まだメンバーに声もかけていない段階ですが、すでにそのユニット名を何にするかを勝手に考え始めています。もちろん最終的には、オレンジスタッフを初めバンドメンバーにもヒアリングをして決定するものですが、あれこれとたたき台的なものを考えて遊ぶのは楽しいです。
 例えば、「里親バンド」「オレンジ・フォスターズ」「里人(さとんちゅう)」・・・。実際にバンドを編成するまでには、まだまだ時間がかかりそうなので、まわりの人の意見も聴きながら、もっと良い名前をつけたいと思います。


439 違う選択 2022/07/07
 昨日は荒天が予想されたため中学校が休校になり、私も出張を取りやめたので、急遽うちの子と木更津に映画を観に行くことにしました。映画は前から相談して決めていた「トップガン・マーヴェリック」でした。主演のトムクルーズが36年ぶりに2作目を作ったとちょっと話題の映画です。「アメリカ海軍のエリート飛行士訓練校に、かつて天才パイロットと呼ばれたマーヴェリックが教官として帰ってくる。生徒の中には、彼がかつてタッグを組み、訓練中に命を落としたパイロットの息子もいた。父の背中を追いかけてきた彼は、マーヴェリックに対し恨みを抱いていた。」 
 今回の木更津行きは、うちの子はもちろん楽しんでいたようですが、私にとってもとても楽しい時間になりました。でも、いつものことですが、この子がいなかったら映画を観るためだけに木更津に行ったかどうか、「トップガン」を選んだかどうかと考えてしまいます。
「独活苦し選ばざりける道もまた」(馬場典子)


438 拍子抜け 2022/07/06
 予報では台風が九州に上陸して、その後温帯性低気圧に変わるものの、今日は早朝から関東でも記録的な豪雨になるだろうと言っていました。このため、今日3部制で開催されるK’orangeカフェに参加するため、早朝出発する予定を立てていた私は、数日前から天気予報を気にしていました。
 昨日の夕方になっても予報は変わらず、里子の通っている中学校からは今日は臨時休業にするとのお知らせが一斉送信のメールで届きました。このため、K’orangeの担当者と相談のうえ、午後6時過ぎに今日の鎌ケ谷行きの中止を決定しました。
 今朝起きて外を見てみると雨は降っておらず風も穏やかな曇り空です。しかし、これから再度の予定変更は難しいので、今日南房総でやることを考えることにします。


437 夢の音楽ユニット 2022/07/05
 オレンジバンドの活動を初めてから、私の心に浮かんでは消える夢の音楽ユニットがあります。それは、ボーカル、ピアノ、パーカッション、ギターその他、贅沢を言えばサックスやバイオリンやトランペットなどなど、すべてのパートを里親だけが担うバンドです。でも、考えていくと、どうしても足りないパートが出てきて夢に終わるのかなと思っていました。
 最近さまざまなシーンで里親と音楽を一緒にやることが多くなり、楽器ができたり歌を歌うことが好きな里親との関係が広がってきていました。そして、ついに私のギターを含めて、ボーカル、ピアノ、パーカッション、キーボードの各パートを担当する里親の顔が浮かぶようになりました。これからメンバー候補にそれぞれ声をかけていこうと思いますが、練習日や発表の場の日程さえ合えばみなさん参加してくれると予想しています。
 その後、どこかのカフェでデビューして、施設でのライブやハッピーファミリー音楽祭への出演へと・・・夢は膨らみますが、練習時間の確保が課題になるのでしょう。

436 家庭菜園 2022/07/04
 我が家から150メートルほど離れたところに、土地を借りて野菜などを作っています。と言っても、農作業はすべて妻が一人でやっていて私は食べるだけです。中学生になった里子も、小学校3,4年生頃までは里母と一緒に畑に行って、作業を手伝ったり虫を探して遊んだりして結構長いこと里母と過ごしていました。最近は、スケボーに夢中になっていることもあり、ほとんど付き合わなくなっています。でも、もともと野菜の好きな子なので、トマトやキュウリなど里母の作ったものを喜んで食べています。


435 夏メニュー 2022/07/03
 先週の金曜日のお昼はオランチでした。オランチとはオレンジ・ランチからの造語でいわゆるサラメシです。なるべく多くのスタッフが勤務している日を選んで、みんなが集まって食べています。今回は、早い梅雨明け後の暑い日だったので、ソーメンがメインのメニューでした。とても美味しかったです。ごちそうさまでした。

434 里山から③ 2022/07/02
 5月の上旬、オレンジに一本の電話が入りました。それは以前オレンジプログラム・インストラクター養成講座を受講した長野県の施設の方からで、曰く「オレンジでは、統括的に里親支援を実践していると聞いているが、実際に現地で活動内容を見たいので一度オレンジを訪問させてほしい。」とのこと。さっそく訪問受け入れの日程調整に入ろうとしたのですが、「待てよ。全国には他にもホームページなどでオレンジの里親支援活動を知って、関心を持っている関係者がいるのではないか。オレンジを会場にして、実践を紹介する研修会を開催すれば情報発信もできるし、オレンジとしても全国各地の里親支援の状況を知ることができて一石二鳥ではないか。」と考え始めました。
 それから急遽プロジェクトチームを組み、研修会開催に向けた準備を始め、先週末に全国の児童養護施設等を中心に「フォスタリング機関実践研修会」の案内文を発送しました。申し込みの滑り出しは順調で、一昨日からファックスやメールがポツポツ届き始め、少しホッとしているところです。

433 訪問型ライブ 2022/07/01
 以前このコーナーでも少し触れましたが、里親支援専門相談員(里専)の企画で、今月16日の土曜日に一宮町にある児童養護施設「一宮学園」をオレンジ・バンドが訪問してライブをやることになりました。そしてつい最近、8月2日(火)に袖ヶ浦市の養護施設「びっき」でのライブも決まりました。まだ二つの施設ですが、この先県内の多くの施設にオレンジ・バンドが音楽を届けられるようになるといいなと思っています。

432 三者面談 2022/06/30
 昨日、中学1年生の里子の三者面談に出席しました。今回の三者は、担任の男性の先生、子ども、里親の私でした。まず学校での様子の話になり、先生から「数人の元気の良いグループで、私が疲れるほど楽しく賑やかにやっている。授業は集中して聞いていることが多い。まだまだ幼い面が見られる。」などの話がありました。授業を集中して聞けているとの評価は少し意外でしたが、その他は予想通りの評価でした。
 学校での生活の話が終わってから、今月中旬に行われた第1回定期テストの結果の話になりました。結果は、先生が「良い方に裏切られた」との表現したほど、中学入学直後に実施された新入生テストに比べて成績はかなり上がっていました。私は彼の頑張りを目の前で見ていたので、想定内どころかもう少し上を期待していたのですが、伸びしろが残ったと捉えるべきと切り替えました。
 でも、先生と私の満足感が伝わってしまったのか、昨夜の1ページ学習は、漢字を1行に一つ、1行ずつ空けて16個書いて終わらせていました。その上、今朝になってよく見てみたら、講演の「講」字の「つくり」が「黄」になっていました。

431 ホトトギス 2022/06/29
 友人がさえない顔で「昨夜も一晩中、家の近くでホトトギスが鳴いていて眠れなかった」とぼやいています。確かにこの時期、我が家でも真夜中から明け方にかけてこの鳥の鳴き声が聞こえます。鳥の鳴き声を人の言葉に言い換える「ききなし」は「テッペンカケタカ」や「トッキョキョカキョク」などとても特徴的で、気になり出すと眠れなくなるのも分かります。それでも、5月から6月中旬にかけて鳴くことが多いとのことで、今年はそろそろ聞き納めになりそうです。

430 ハンゲショウ 2022/06/28
 子どもをスケボーパークに送り迎えする途中、田んぼの畦道の水際にハンゲショウの群生が見られます。このところ白い葉が目立つようになってきたので、昨日車を止めて画像を撮ってみました。
 ウキペディアには、「名前の由来は、「半夏生」(毎年7月2日頃)に白い葉をつけるためとする説と、葉の一部を残して白く変化する様子から「半化粧」とする説がある。また葉の片面(表面)だけが白くなることから、カタシログサ (片白草) ともよばれる。」と解説がありました。

429 風に吹かれて 2022/06/27
 「どれだけ道を歩いたら 人として生きられる? どれだけ遠くへ逃げたなら 静かに眠れるだろう? どれだけミサイル撃ったなら 過ちに気づくだろう? ~中略~ この世に平和が来る日まで この地球は耐えきれるか? どれだけ犠牲を払ったら あの人は微笑むだろう? あとどれだけ人が死んだなら 戦争をやめるのか? その答えは風の中 風に吹かれてる」
 一昨日のこのコーナーで少し触れた「風に吹かれて」は、ウキペディアによると「ボブディランが1963年に発表した。ピーター・ポール&マリーのカバーが世界的にヒットして、作者のディランを一躍有名にした。1960年代のアメリカ公民権運動の賛歌とも呼ばれ、現在に至るまでディランの作中最も愛唱されることの多い歌曲となっている。」
 最近この原曲に桑田佳祐さんが日本語の歌詞をつけ歌っていて、これを聴いたおじさんたちが、今の時代にあらためて歌ってみようと思っているところです。

428 新しいレパートリー 2022/06/26
 新しく誕生したオレンジの音楽ユニット「こっしぇる」のレパートリーは、当然ですがまだとても少ないです。今はまだ人前で胸を張って披露できる曲はなく、「ルージュの伝言」(荒井由実・魔女の宅急便)、「歩いて帰ろう」(斉藤和義)の2つを練習中です。
 そんな中、最近オレンジへの通所が始まった女の子が、歌とアコースティックギターをやりたいと言うので「こっしぇる」の出番となりました。どんな曲を一緒にできるかを話し合っていて、彼女が以前から習っているボイストレーニングの課題曲が、今は映画「ズートピア」の主題歌「トライ・エブリシング」というので、次回の通所からその曲を一緒に練習することになりました。明るく前向きな曲なので楽しくセッションができそうです。
 このように家族や子どものエピソード付きでレパートリーが一つずつ増えていく。「こっしぇる」を結成したときにおぼろげにイメージしていた形に近づいているようです。

427 歌のメッセージ 2022/06/25
 7月16日(土)の午後3時から、児童養護施設「一宮学園」でオレンジバンドが中心に音楽を届けるライブイベントがあります。対象は里親子と施設の子どもたちです。
 出演してくれる里父さんと何をやろうかとLINEで相談をした結果、最近「クローズアップ現代」で桑田佳祐さんが弾き語りした「風に吹かれて」をやることになりました。この曲は、ボブディランが歌って一世を風靡した反戦歌ですが、今回桑田さんはあらためて日本語の歌詞をつけて歌っていました。
 音楽で伝えるメッセージが子どもたちに届くように、時間は限られていますが練習したいと思います。

426 里山から② 2022/06/24
 オレンジプログラム・インストラクター養成講座は、昨日今日の講座の他、8月25,26日に今年度第二回目が開催されます。また9月30日と10月1日の二日間には、「フォスタリング機関実践研修」が同じく南房総安馬谷のオレンジを会場に開催される予定です。そして、この二つの研修にも全国各地からの参加者が見込まれています。
 私は、南房総の里山から全国に対して情報発信ができるようになったことに、ある種の達成感を覚えています。そしてここからの情報発信が可能になったのは、オレンジの体制強化とともに社会的な認知度が上がってきているからだと思っていますが、その原動力は職場の雰囲気が明るく和やかで、スタッフがチームワーク良く働いてくれることだと確信しています。

425 里山から 2022/06/23
 今日と明日、南房総市安馬谷のオレンジを会場に、オレンジプログラム・インストラクター養成講座が開催されて、全国から15人の参加者をオレンジスタッフ総出でお迎えすることになります。
 私は開講の挨拶と簡単なオレンジの活動紹介を任されていて、どんなことを話そうかと思いをめぐらしていたら様々なことが頭に浮かんできました。まず、20年前に児童養護施設・神戸少年の町でペアレントトレーニングのトレーナー養成講座を受けたこと。そして、東日本大震災の年の夏から秋にかけて、傷跡も生々しい岩手県内3ヶ所を回って私がトレーナー養成講座を行ったこと。その後の数年間、岩手県を初めとして栃木、、群馬、埼玉、茨城、東京、静岡、京都、徳島、広島、山口など全国各地を講師として駆け回ったこと等です。
 そんなことを考えながら、南房総の里山から全国に向けてオレンジプログラムを発信することに、あらためて時の流れを感じています。 

424 瑠璃色の地球 2022/06/22
 「夜明けの来ない夜はないと あなたがぽつり言う 灯台の立つ岬で暗い海を見ていた 悩んだ日もある悲しみに 挫けそうなときも あなたがそこにいたから 生きてこられた 朝日が水平線から光の矢を放ち 二人を包んでいくの 瑠璃色の地球 泣き顔が微笑みに変わる瞬間の涙を 世界中の人たちにそっと分けてあげたい 争って傷つけ合ったり 人は弱いものね だけど愛する力もきっとあるはず ガラスの海の向こうには広がりゆく銀河 地球という船の誰もが旅人 一つしかない私たちの星を守りたい 朝日が水平線から光の矢を放ち 二人を包んでいくの 瑠璃色の地球 瑠璃色の地球」 
 作詞:松本隆、作曲:平井夏美。ウキペディアによると、「1986年6月1日に発売された松田聖子の13枚目のアルバム『SUPREME』が初出で、10曲中最後の曲として収録された。松田が妊娠中にレコーディングされた曲であり、その時の子どもが神田沙也加である。同楽曲はその後合唱用に編曲されており、広く歌われている。」
 今日のもばらカフェで参加者のみなさんと歌おうと思っています。

423 こっしぇる 2022/06/21
 南房総のオレンジに勤務するスタッフ三人で新しく音楽ユニットを結成しました。アコースティックギターとカホンとタンバリンでJポップなどを演奏するユニットです。音楽好きのお母さんの息抜きの場を作ろうと始めた「歌カフェ・ミニ」のために結成したのですが、不登校の子どもなどの居場所になる可能性も広がりつつあります。
 ときどき練習もするようになり、本格的な活動が始まってユニット名を考えたとき「こっしぇる」はどうかとの意見が出ました。「こっしぇる」は、「こさえる」→「作る」を意味する房州弁です。何かフランス語みたいでかっこいいので、これに決定しました。名前負けしないような実力をつけたいと思っています。

422 支援理念⑰ 2022/06/20
 ここまで里親支援の5つの理念、「早期から」「切れ目なく」「個別に」「細やかに」「隔てなく」について書いてきましたが、この考え方は、一般の子育て支援にそのまま当てはまることが多いと思います。
 オレンジでは、里親支援で培ったノウハウを、徐々に地域の子育て支援に広げて行ければ良いと考えています。そのためには、オレンジの職員一人一人の資質向上と組織の体制強化、そして何より地域の子育て支援機関のネットワークが不可欠だと考えています。
 ここまでオレンジの支援理念について書いてきましたが、今回でシリーズは終了します。心の赴くままに書いてきたので舌足らずなところ、言い過ぎたところなどまとまりのない文章になってしまいました。いずれ所内研修やオレンジ主催の研修会等で発表したいと思っていて、その際にはもう少し分かりやすく整理してお伝えできるようにしたいと考えています。

421 支援理念⑯ 2022/06/19
 オレンジの支援には、里親登録の有無での隔てがありません。県内7ヶ所で毎月開催している(千葉市の「ひびきカフェ」は隔月開催)オレンジカフェには、頻繁に里親登録前の人が参加します。これは、里親登録に向けて動き出している人たちにも「隔てなく」関わっていく意識を持って、里親制度説明会と登録前研修等の機会に積極的にカフェやペアトレへの参加を勧誘しているからです。
 里親種別と登録の有無の他にも、里親には様々な「隔て」があります。例えば、里親会加入の有無、委託・未委託の別、特別養子縁組みの有無、千葉県在住か否か等などです。オレンジの会では、このような「隔て」を低くして、できるだけたくさんの里親(登録前の人たちを含む)を支援していきたいと考えています。

420 支援理念⑮ 2022/06/18
 最後に5つ目の「隔てなく」について考えてみます。
 私は、児童相談所を初めとする支援機関の意識の中に、「隔て」を作るいくつかの要因があると思っています。「里親はボランティアで恵まれない子どもたちを養育する善意の人。」縁組み希望の里親に対しては「自分の子どもにするんだから、自己責任で養育すればいい。」親族里親に対しても、「孫や甥姪を養育するのは当然。」との考え方が根強くあるように思います。さらに、専門里親の「専門」という言葉から、支援の必要のない里親と捉えられている可能性も感じます。
 まず始めに、オレンジでは種別によって支援を躊躇したりしません。

419 支援理念⑭ 2022/06/17
 「個別に」里親子の支援を考えるときに必要なことは、オレンジが提供できるメニューの中から支援方法を柔軟に選択することだと考えています。例えば対面での面接が必要な場合、訪問が良いのか来所してもらうのか、時期はいつか、担当は誰が良いのか、担当の他心理職や保健師の関わりは必要か、児童相談所と連携するか等などです。そして支援方法を決定したら、スピード感を持って実行していくことを意識しています。

418 支援理念⑬ 2022/06/16
 里親子と「個別に」関わる方法としては、家庭訪問、来所、電話、メール・LINE等がありますが、それぞれメリットとデメリットがあります。家庭訪問や来所は、対面で直接お話しができるので、関係作りや情報共有の手段としては良い手段だと思いますが、場所と時間の制約が強いという面があります。電話やメール・LINEなどは、関係作りや情報共有ではマイナス面もありますが、時間と場所の制約が弱くなるという利点があります。
 最近オレンジでは公式LINEを取り入れて、大幅に里親子とのやりとりが増えています。LINEは、無料という大きなメリットがあり、特に里子たちとつながるとても良いツールであることが分かってきました。
 しかし、「細やかに」を併せて考えると、家庭訪問と来所での面接を基本として、その他LINEなどのツールを適切に取り混ぜて里親子とのコミュニケーションを取っていきたいと考えています。

417 ビワの実 2022/06/15
 また少しシリーズから外れます。
 「城山ビワも明るんで さあ我らのパクリどき 南京袋肩にかけ 我らは二中のビワ泥棒」
 城山公園のビワの木が、色づいた実をたくさんつけているのを見て、こんな替え歌を思い出しました。このビワの木は、城山に新しいお城が建築される前、私の小学校時代からそこにありました。
 中学生になった里子も、小学生の頃は毎日そのビワの木の下の道を通学して、私と同じ景色を見ていました。ビワの木の寿命がどのくらいかは分かりませんが、彼が大人になったときまだこの木があれば、それを見た彼は子ども時代のどんなことを思い出すのでしょうか。

416 支援理念⑫ 2022/06/14
 次に「個別に」について考えてみます。
 オレンジカフェに参加した里親からときどき「児童相談所から手紙が来たけど意味が分からない。」という発言があります。私自身も里親をやっているので、県の児童家庭課や児童相談所から手紙が来ます。そのほとんどが他の里親にも同時に発送された文書で、やれ個人情報の管理を徹底しろとか、やれ里子のために施設を改修した場合には助成するから申請しろだとか、たまにアンケートも届きますが当然里親全員に発送されたものです。里親全員に出された文書ですから宛名は「里親各位」です。文面はいかにもお役所的で硬く、よくよく読まないと何を言わんとしているか分からないものが多いです。
 この文書の形に行政として「個別に」里親を支援することの難しさが象徴的に表れているように思います。偏らないように平等に支援を届けるという行政サービスの特徴が支援の限界を設定しているのです。
 オレンジでは、行政サービスの限界を補うために「個別に」の支援を様々模索しています。

415 支援理念⑪ 2022/06/13
 里親不調ケースを0にすることは難しいとは思いますが、「細やかに」支援をすればかなりのケースは不調に至らないと思います。まず、委託する里親選定の段階から対象の里親家庭の状況を「細やかに」把握していることが必要です。「細やかな」状況把握から委託する里親を決定したら、その里親に対する「細やかな」ケース説明が必要です。また、委託される子どもへも「細やかな」状況説明が欠かせないと考えています。児童相談所が里親に子どもを委託するとき、このいくつかの「細やかさ」を持ってケースワークをすれば、大幅に不調ケースは減るだろうと予想しています。

414 支援理念⑩ 2022/06/12
 「細やかに」で重要な要素と考えているのは、スピード感です。里親家庭と接する中で相談を受けたり、相談は受けないまでもオレンジが必要と判断した支援を、なるべく早く里親子に届けていくことが必要だと考えています。
 支援が必要な事柄は、いつまでも同じ状態ではありません。里親自身も問題を解決すべく動きますし、里子の問題は、時間の経過とともにそれなりに解決してしまう場合もあれば、さらに悪化する場合もあり、時には急激に悪化して一時保護に至るケースもあります。いわゆる里親不調と呼ばれる事例になってしまいます。

413 支援理念⑨ 2022/06/11
 3番目の理念「細やかに」について考えてみます。わかりやすい例を挙げると奨学金の取得支援です。オレンジでは、5年ほど前から奨学金取得の支援をしていますが、奨学金は様々な団体や組織が提供していて、募集時期・募集人数・支給金額・支給方法・応募条件・申請書類の内容等など、応募する奨学金を選定する段階からとても複雑です。
 オレンジでは、担当者が独自に作成した奨学金の募集要件の一覧表を、進学を希望する里親子と面談しながら渡します。その後、具体的な進学先や受給する奨学金が決まった段階で申請書類の作成に入ります。一般的な申請書類の他、作文・推薦文・資金計画などの作成を家庭訪問・来所など対面を中心に長期にわたり細やかに寄り添います。この面接は、時には10回を超える場合もあります。また、選考過程で面接をする団体もあり、オレンジの担当者が面接に同席したケースもあります。

412 花嫁街道 2022/06/10
 またまたシリーズから少し外れます。BS・NHKの「日本百低山」で旧和田町の烏羽山を取り上げていたので見ました。この番組は、酒場詩人の吉田類さんが「山高きが故に貴からず」をモットーに、毎回ゲストと一緒に全国の低いけれども名山に登ります。
 山行きの途中「和田町歩こう会」の相川好夫さんが登場して、「昔は海辺の集落と山の集落の間での婚姻の際、花嫁が実際にこの5kmの道を通ったこと。一番近い花嫁さんが、昭和25年に18歳で海辺から山を越えて五十蔵地区にお嫁に行ったのが最後だったこと。明治の頃は海辺の子どもたちが五十蔵の学校に提灯を持って通ったこと。相川さんが40年前に仲間とともに山道を整備して「花嫁街道」と名付けたこと。」など、山道の由来を説明してくれました。
 40年前に当時小さかった長女をおんぶして、整備されたばかりのこの山道を「和田町歩こう会」の人たちの先導で歩いたことを思い出しました。それ以来数え切れないほどこの山道を歩いてきましたが、今回の番組を見て長年漠然と抱えてきた疑問が一気に解けました。次の山行きでは様々なことに思いを馳せることになりそうです。

411 支援理念⑧ 2022/06/09
 このようにオレンジでは、里親への委託後時間をおかず里子への関わりを開始し、措置変更・措置延長・措置解除とステージが変わっても「切れ目のない」支援を継続する体制が整いつつあります。
 今国会で児童福祉法改正が行われ、社会的養護の22歳までの措置期間の制限が撤廃されました。施行されるのは2年後からとのことですが、法改正で国や県の体制が整う前に対象者のニーズに応じて支援の手を差し伸べるのがNPOの一つの役割だと考えています。
 もう少し「切れ目のない」支援について踏み込んで考えると、里親委託前のステージでの関わりがあります。児童相談所が一時保護した段階から、里親委託の可能性がある子どもへの関わりが始められると良いと考えています。さらに言えば、要保護児童対策地域協議会で要保護児童と認識した段階から「早期から」「切れ目のない」関わりができるようになるのが理想です。

410 支援理念⑦ 2022/06/08
  里親に委託される里子にとっての「切れ目のない」支援を考えてみるのに一つのケースを紹介します。
 6年前、高校生の女の子が里親登録後間もない里親に委託されました。オレンジはすぐに家庭訪問をして里子と面会しました。そして、「オレンジは里親を支援する機関ではあるけれど、その前にあなたの味方です。それは児相が関わらなくなり、里親の手を離れた後も同じです。」と伝えました。その後、彼女は里親不調で他の里親に措置変更になり、オレンジの仲介で就職をしました。措置延長を経て措置解除となりましたが、二十歳を過ぎた今もまだ自立とは言えない心配な状況が続いています。オレンジは、これからもこれまで同様に見守り続けて、彼女が必要なときに必要な支援を届けていこうと考えています。

409 支援理念⑥ 2022/06/07
  一般的に里親になろうとした人は、インターネットや本などで里親制度について調べるところから始めるようです。その後、オレンジが千葉県から委託されている里親制度説明会に参加する人、オレンジに問い合わせをしてくる人、児童相談所に直接出向く人などに分かれます。そして多くの人が、知識不足や夫婦間での意見の相違などから、登録に向けて動き出すかどうか悩みます。
 オレンジが里親支援を始めるまでは、この段階から里親希望者にアプローチする支援はありませんでした。オレンジでは、連絡先などの情報をもらった里親希望者に行事(カフェ、研修会、アウトドアイベント、音楽イベントなど)へのお誘いのDMを発送したり公式LINEでつながるようにしています。このような支援のなかったときとの比較は難しいですが、先輩里親やオレンジとつながって様々な知識や経験を得ることで、抱いていた不安が大幅に軽減していると思われます。

408 刺さる言葉 2022/06/06
 今日は「支援理念」シリーズを一旦おやすみにして、映画の話を書きます。妻に勧められて、録画してあった映画「ライオン-25年目のただいま-」(2016年制作・オーストラリア)を見ました。「インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタまで来てしまう。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長。25年後、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる。」
 自分のルーツ探しが養母に対する裏切りになるのではと悩むサルーに、養母がかけた「立派に成長したあなたを実のお母さんに見てもらうことは、私にとって誇らしいこと。」という言葉が刺さりました。

407 支援理念⑤ 2022/06/05
 里親支援担当職員の異動による「切れ目」は、民間の支援機関にもあります。里親専門相談員や児童家庭支援センターの相談員が、児童養護施設や乳児院の直接処遇職員になったりすることは頻繁に行われていますし、大きい法人だと高齢者や障害関係の部署との行き来もあります。また、民間の支援機関の場合は職員の退職による「切れ目」があります。
 オレンジでは、この支援者と里親子の人間関係の「切れ目」を最小限にしようと考えて、職員の退職以外はなるべく担当者の変更はしないようにしています。
 次回からは、里親子が経験するステージごとの支援の「切れ目なく」について考えてみたいと思います。ステージとは、里親で言えば、里親登録前、里親登録後、委託、委託解除、里親登録辞退後など。里子では、マッチング、委託、委託解除後、アフターケアなどの各段階のことです。

406 支援理念④ 2022/06/04
 次に「切れ目なく」について考えてみます。この「切れ目なく」には、二つの意味があります。一つは、支援機関の職員と里親子の人間関係です。二つ目は里親子それぞれのステージごとの関わりの一貫性です。
 まず人間関係から考えてみます。近年千葉県の児童相談所では、毎年児童福祉司を中心として職員を大幅に増やしています。これは、増加の一途をたどっている児童虐待に対応するためですが、急激な増員が行われることの影響として、県内6ヶ所の児童相談所間での定期異動に加えて、一つの児童相談所の中で担当部署が変わったり、ケースの担当者変更が頻繁に行われるようになっています。
 対人援助の仕事では、信頼関係が重要であることは言うまでもありませんが、めまぐるしく担当者が変わる状況では里親子との関係を築くのはほとんど不可能と思われます。そして、私の予想では、職員の増員に伴う児童相談所の混乱はこの先10年は治まらないと思われます。

405 支援理念③ 2022/06/03
 千葉県では児童相談所以外、オレンジの会を除く民間支援機関は、里親登録前から里親希望者に関わることが制度上困難な状況にあります。民間支援機関が里親と対面で関係を持つことができる初めてのチャンスは里親認定証交付式です。しかし、この交付式は、里親審議会からさらに3ヶ月から半年ほど遅れて開催されるうえ、都合がつかず参加できない里親には認定証が郵送されることになっていて、対面できず情報も入ってきません。つまり、オレンジ以外の民間支援機関は、オレンジや里親会の開催するサロンやその他のイベントを通して、偶然里親との関係を築くしかないのが実情です。
 オレンジでは、すべての支援機関が早期から里親の情報を共有して関わりを始め、里親を中心としたチーム養育の準備ができるようなシステムができれば良いと考えています。

404 支援理念② 2022/06/02
 「家庭に恵まれない子どもに温かい家庭を提供してやりたい。」「子どもに恵まれないが子育てを経験したい。」「子どもが好きなので実子とともにたくさんの子どもを育ててみたい。」など、里親になりたいと思う理由はそれぞれですが、里親希望者はみなさん熱い気持ちを持って里親登録に向けて動き出します。しかし、里親になるまでに半年から1年以上支援機関からの関わりはなく、里親登録後も肝心な里子の委託はいつになるか分からない状況が待っています。
 オレンジは、この空白の期間をなんとか埋めたいと考えています。里親希望者に将来里親になって里子を育てる人たちとして関わり、里親制度説明会や登録前研修を通じてカフェやペアレントトレーニングの他、オレンジ主催の様々な事業を紹介して関係作りを進めています。里親希望者は、これらの事業に参加することにより支援機関や先輩里親から、里親として里子を養育するために必要なスキルや心構えなどの有益な情報を得ることができます。そして何より、ほとんど情報のない孤立した状況から脱することができて、子育てに対するモチベーションを維持することができます。 

403 支援理念① 2022/06/01
 今日から連載でオレンジの里親支援のベースとなる5つの理念について書いてみます。その5つとは、①早期から、②切れ目なく、③細やかに、④個別に、⑤隔てなく、です。
 一つずつ見ていくことになりますが、まずは「早期から」を考えてみます。千葉県の場合、児童相談所と里親希望者の関係は、里親希望者が児童相談所に直接行って里親制度の説明を受けたり聞き取りをされる「インテーク」を受けるところから始まります。その後、登録前研修と施設実習を受けます。施設実習が終了すると家庭訪問、児童相談所長面接と進み、その後里親審議会を経て晴れて「里親登録」となります。「インテーク」から「里親登録」までの間隔は短くて半年、長いと1年以上あります。この間、児童相談所は里親希望者をあくまで希望者として扱い、支援機関として里親との関係性の構築を目指していません。 

402 心の準備 2022/05/31
 うちの子が中学校に入って初めての定期テストが、来月の16日(木)、17日(金)に迫っています。このところ学習に対する意欲が出てきて、私に付き合ってくれと言うので、実子以来30年以上ぶりにテスト勉強と言うものを一緒にしています。昨夜は、「令和4年度第1回定期テスト勉強計画表」にテスト前2週間の家庭学習の計画を子どもと一緒に1時間かけて記入しました。
 そのあと国語の「ワーク」に時間をかけてじっくりと取り組みました。彼は計画表の「努力目標」に「平均以上になる!」と書いていましたが、このままのペースで勉強を進めれば十分に実現可能な目標に思えてきました。でも、こちらとしては期待外れな結果に終わってもがっかりせず、努力した過程を評価する心の準備はしておこうと思っています。

401 スマホデビュー 2022/05/30
 子どもがスマホを手に入れました。昨日初めて外に持って行って、いつも遊んでいる友達とのつながりでクラスのグループLINEに入ったようです。そうしたら寝る前までに100を遙かに超えるLINEが届きました。子どもが寝る前に、「おやすみ!」とLINEしたいと言ったので、やめた方が良いとアドバイスしました。
 一夜明けて、彼が起きてきたらLINEが何本入っているか聞いてみようと思いますが、ちょっと怖いような気もします。